東京・麻布十番の隠れ家フレンチ「食道麻布」に行ってきました

東京・麻布十番の隠れ家フレンチ「食道麻布」に行ってきました

麻布にひっそり佇む“大人の隠れ家”

麻布十番駅から少し歩いた住宅街の一角。人通りの少ない路地に、ひっそりと佇むのが「食道麻布」です。扉を開けると、そこには日常の喧騒を忘れさせてくれる和モダンの落ち着いた空間。正面に構える大きな炉窯と、温かな木のカウンターが目に飛び込んできます。

店内は全16席ほど。余計な装飾はなく、木の温もりと柔らかな照明がつくり出す雰囲気は、まるで別荘に招かれたような心地よさ。ゆったりと流れる時間の中で、大切な人と静かに語らうのに最適な、まさに“大人の隠れ家”と呼ぶにふさわしい場所です。

食道麻布

炉窯焼きという特別な調理法

「食道麻布」の最大の魅力のひとつが“炉窯焼き”。高温の炉窯で一気に焼き上げることで、食材の表面は香ばしくパリッと、中は旨みと肉汁をギュッと閉じ込めたジューシーな仕上がりになります。

遠赤外線の効果で食材の内部まで均一に熱が伝わるため、ただ焼くだけでは出せない柔らかさとジューシーさを両立できるのです。特に肉料理は、表面の香ばしい焼き目と中のとろけるような食感のコントラストがたまりません。火入れの妙が光る「炉窯焼き」は、このお店でしか体験できない特別な美味しさを演出しています。

特別な夜を彩るフルコース体験記

ここからは実際にいただいた珠玉のコースをご紹介します。
ひと皿ごとに驚きと感動が込められていて、最後のデザートまで夢見心地でした。

◆白とうもろこしのクリーム × 白海老の冷製スープ

食道麻布 口コミ レビュー

最初の一皿から心を奪われます。
甘さのピークを迎えた白とうもろこしは、太陽の恵みをたっぷりと吸い込み、濃厚なクリームに仕立てられています。そのまろやかさに寄り添うのは、透明感ある旨みを持つ白海老。
ひんやりと冷たいスープから立ちのぼる、ほのかな香り高いオリーブオイルが鼻腔をくすぐり、一口含めば、初夏の恵みを存分に感じることができる一品目です。

ストラッチャテッラ × 夕張メロン

食道麻布 口コミ レビュー

真っ白なストラッチャテッラチーズは、ミルクの甘さとわずかな塩味をたたえた柔らかな食感。そのクリーミーな舌触りに、夕張メロンの瑞々しくも芳醇な香りが重なります。

ひと口ごとに、メロンのジューシーな果汁がチーズに染み込み、甘さと塩味がほどけ合い、胸をときめかせます。
夏の暑さを忘れさせる清涼感と、思わず笑みがこぼれる驚き。夏にふさわしい前菜です。

加茂茄子の土佐煮 アメリケーヌソース

食道麻布 口コミ レビュー

ここで一転、温かな余韻をもたらす一皿。
しっとりと出汁を含ませた加茂茄子を、軽やかに揚げることで生まれる外皮の香ばしさ。その上から、甲殻類の旨みを凝縮したアメリケーヌソースがとろりと掛けられます。

口に運ぶと、ナスがまるで海の香りを吸い込んだかのように豊潤に変貌し、土佐煮のやさしさと濃厚なソースの力強さが絶妙なバランスを奏でる。前菜の余韻をさらに奥深くしてくれる贅沢な一皿でした。

茨木塚原牧場 梅山豚 肩ロース 炉窯焼き

食道麻布 口コミ レビュー

脂の甘みと香り高さで知られる梅山豚。肩ロースを炉窯でじっくりと火入れすることで、余分な脂は落ち、旨みだけが閉じ込められます。
外側はパリッと香ばしく、中は驚くほどしっとりジューシー。シンプルなお塩とレモンの味付けが脂の甘さを引き立て、ふわっと広がるのに重たさがなく、後味はスッと消える。
食べるほどに微笑んでしまう一皿です。

黒毛和牛タンモト / 田村牛イチボ 炉窯焼き

食道麻布 口コミ レビュー

炉窯の炎とシェフの感覚が生み出す、二種の食べ比べ。
タンモトはぷりっとした弾力の中に溢れるジューシーさ。噛むごとに旨みが弾け、肉好きなら思わず頷いてしまう力強い味わい。
一方、イチボは赤身の深いコクに程よい脂が溶け込み、口内でしっとりとほどけていく。そこに加わる香ばしさが、肉の個性をさらに際立たせていました。二皿を食べ比べることで、牛肉の奥深さを改めて感じさせてくれます。

グリーンサラダ

食道麻布 口コミ レビュー

ここでリセットの一皿。

新鮮な青野菜はシャキッとした歯触りと瑞々しい香り。シンプルでありながら、肉料理の余韻を受け止め、次のクライマックスへとつなげる役割を果たします。まるで舞台における幕間休憩のように、コース全体の流れを美しく整える名脇役。

田村牛シャトーブリアン 炉窯焼き

食道麻布 口コミ レビュー

いよいよ本日のクライマックス。

シャトーブリアンはその名の通り“肉の女王”。ナイフを入れた瞬間に伝わるしなやかさ、口に含んだ途端に広がる絹のような繊細な肉質。噛むたびに上品な旨みとほのかな甘さがじんわりと広がり、余韻はため息が漏れるほどの幸福感。

香ばしい焼き目と柔らかな中心部のコントラストが、炉窯焼きならではの魔法を見事に体現していました。

 田村牛リブ芯 肉混ぜご飯

食道麻布 口コミ レビュー

リブ芯を細切れにして贅沢に混ぜ込んだ一杯。

米粒一粒一粒に肉の旨みが染み渡り、噛むたびにコクが口いっぱいに溢れ出す。香ばしさとジューシーさが重なり合い、まるで「肉のオーケストラ」。

シンプルながら完成度が高く、思わず「これだけを食べに来たい」と感じさせるほどの中毒性がありました。

牛丼

食道麻布 口コミ レビュー

「えっ、ここで牛丼!?」と思わず驚き。
しかし一口で納得、これは“究極の牛丼”。贅沢な肉と甘辛いタレの調和に、とろける卵が加わることで一気にごちそうに昇華します。
そこに紅ショウガが加わると、味わいがキリッと締まり、懐かしさと高級感が同居する絶妙な仕上がり。シェフの遊び心と本気が融合した、忘れられない一品でした。

フィナン

食道麻布 口コミ レビュー

最後を飾るのは、焼き立てのフィナンシェ。

外はカリッと香ばしく、中はふんわり柔らか。噛むたびにバターの芳醇な香りが広がり、幸福感が静かに胸に満ちていきます。

一口サイズながらも余韻は深く、コーヒーやハーブティーとの相性は言うまでもなし。

まとめ

「食道麻布」は、単なるフレンチレストランではなく“体験する食”。
 炉窯という特別な調理法と、シェフの感性が融合することで、素材の命が一皿ごとに花開きます。そこには「食を通じて心を満たす」というコンセプトが体現されており、一皿ごとに「驚き → 幸せ → 感動」の物語が込められていました。

ここで過ごす時間そのものが、かけがえのない美しい記憶になるはずです。特別な日、大切な人と訪れたい。そんな秘密にしておきたい名店でした。

食道麻布 店舗情報

●住所:
〒106-0047
東京都港区南麻布1-5-9 クレア麻布1階
●営業時間
17:00~23:00(完全予約制)/土日祝休み
●予約電話番号
070-8495-2929(受付時間:営業日の10:00〜16:00)
●公式ホームページ
https://syokudo.azabu.tokyo.jp/

ABOUT US
内田絢子
内田 絢子
駆け出しライター&PR支援をしています。 週8回の会食で鍛えた“舌”を武器に、B級グルメから高級フルコースまで、食の魅力を幅広く発信。グルメな交友関係をフル活用し、独自の視点と感性でストーリーを紡ぎます。 日常にちょっとした贅沢を添えて。特技は、ご飯3杯のおかわりと野菜マシマシアブラマシ!